世の中の異変、愛する人の異変、自分の感情の異変に気づいても、行動することなくそのまま通り過ぎれば、日常はただループしている。でも、見過ごしてはいけない異変に直面した時、私は私の意思で、立ち止まり、引き返し、人生を変えることができるのだ。
8番出口は、主人公が人生における苦悩に直面した状況で、その出口を探す葛藤の物語である。ゲームの世界観が映画の世界に溶け込み昇華した。出口に辿りつかない無限ループの通路の中に現れる、主人公が直面する心象世界の異変や弱さに、過去や未来のパラレルワールドが交錯し、やがて主人公が異変を直視することで、大切なものを取り戻し人生を変える決断をする。映画の最後1秒の演出は、主人公が葛藤から抜け出す決断の出口に辿りついた覚悟を暗示する。
映画の始まりの単調な繰り返しが中盤で二転三転パラダイムシフトし、ラストに向けての伏線回収とリズムの良い展開が心地良いが、その間もセリフによる説明はほとんどなく、俳優陣の秀逸な演技力と映像の暗喩により複雑で異様な世界感に没入することができ、主人公の心理状態の変容が明確に共感された。
わたしは、よくできた映画だと思う。