最初に書いておきますが、映画内であまりよく語られず、消化不良に終わることをよく思わない方や、単なるゲーム要素やホラー要素を求める方、映画館の大きな音に過剰な恐怖感を覚える方、赤ちゃんの泣き声に強烈な不快感を覚える方、小さな子どもが怪我をさせられるシーンを過度に嫌う方、津波にトラウマがある方は、鑑賞を控えるか、Netflixなどの配信サービスに上がるのを待つかをなさるべきだと思います。
端的に言って、とっても好みの映画だった。なんというか、映画館から出た後も、この映画に込められた、言葉では語られない数々の不思議な表現を自分なりに解釈しないと、見た意味がなくなってしまう、この映画の本当の良さを見失ってしまう、そんな映画だったと思いました。
気になったことは、赤ちゃんの鳴き声や一部のbgmが耳に障ったり、途中中弛みがあったりしたことです。原作ゲームの性質上、同じ空間を回るシーンが多く、中弛みがあったというのは、同じような薄暗い地下通路の背景の中で、びっくりする展開や感動する場面などの揺さぶられる要素が少ない箇所が中盤あたりにあったということです。その他、土砂混じりの津波など、人によっては不快に感じられる演出もありました。
ですが、僕個人の話をさせてもらうと、この映画を見終わった直後も、1回目に見終わってからしばらく経った日も、あれは何を象徴していたのか、登場人物の間で時間軸はどう絡み合っていたのか、よく考えたらあの場面って、、、など、自分なりに考察して自分なりの解釈をまとめていき、この映画の持つ隠し要素をひとつずつ自分のものにしていく時間は、すごく充実したものでした。この映画の良さは、そこにあると思います。
長くて申し訳ないですが、もう一つ良さがあって、それは、作り手が伝えたいメッセージが、現実味を持って刺さってきたことです。込められたメッセージは、ハッとさせられるものでした。無気力に生きる人や、他人に合わせるばかりで自分らしく生きられない人など、閉塞した現代社会に生きる人々に対するメッセージがいくつかあり、身に染みるものでした。そして、誰もが利用したことのあるような地下通路や電車、駅といった舞台に役者が立って、彼らの演技がつなげるストーリーから伝わるそれらは、日常で同じ舞台上に立つ自分に対してのものだと錯覚するような、そういう意味での現実味を帯びて僕の中に響きました。ゲーム8番出口を原作にしたことの利点がここに生かされていたように感じます。
何のストーリーもないゲームを原作にし、同じような地下通路を回り続ける過程に肉付けして映画にするなんて、すごく難しいことなのに、今となってはその映画に出会えたことに大変満足しています。