明治14年東京集治監から朱色の衣服の囚人が極寒の地に送られる。
北海道内の事業推進に携わる彼らの日常が綴られるが、その当時の政局や事件なども絡ませて書かれていてわかりやすい。秩父騒動や佐賀の乱、神風連の乱、萩の乱、西南戦争で捕らえられた者が収容されていたり、新選組の永倉新八が剣道師範に迎えられたりしている。
ニコライ皇太子事件(大津)の犯人津田も釧路監獄へ送られていた。
囚人たちの労働は過酷を極め食事も粗末。亡くなる者の多さは想像以上だった。脱走者も相次ぐ。
重大な罪を犯した囚人たちだが恩赦を待ち望む様子には同情した。