川登幸二

前半をミュージカル調にまとめたのは正解。 原作でかなりのエピソードが費やされたキャラクターたちも、フェルゼン＆マリーアントワネット以外はワンシーンで終わるのも、ニヤリとできて良い。そうこれはヅカ版ベルばらのアニメ化なのだ。 そんな前半が良かっただけに、後半の戦闘シーンの出来がもったいない（以下、ミリオタ的ツッコミ）。 決戦距離射撃は後世（七年戦争・南北戦争）の戦術なので暴徒相手ならこれで良いかもしれないけど、黒色火薬の硝煙は１回の斉射で数メートル先も見えない視界不良になっちまう。指揮官狙撃は（アメリカ独立戦争の戦訓があったとはいえ）当時の欧州（アンシャンレジーム）では卑劣な行為。つか、指揮官倒しても突撃を阻止しえないし。大砲も対人射撃なら通常弾（早い話が亜音速で飛んでくるボーリング玉・射程が長く攻城戦にも使える・衛兵隊はコッチを使用）よりブドウ弾（散弾）を使うハズ。そして銃も大砲も再装填シーンは一切無いし。 マスケット銃は狙撃に向かないので、オスカルの倒れるシーンはやはり出崎版のように斉射の中の運命の一弾にして欲しかった（つか銃口照準は無いだろ。ちゃんとアイアンサイトにしろよ）。 せっかく、軍装は当時のモノをちゃんと考証していたのに（原作通り衛兵隊長オスカルがナポレオン時代の軍装なのはご愛敬）。 あと、ミュシャ風アールヌーヴォー調止め絵は……100年後なのですが。