馬琴が『南総里見八犬伝』を書いた28年間を、スペクタクル感満載の八犬伝の物語シーンを織り込みながら描く手法は、静と動、実と虚の対比が鮮やかで、作品に奥行きをもたらしたと思う。
馬琴と北斎の生き方の違い、創作への向き合い方の違いもこの作品を深めていると思った。家族との関係も細やかに描かれていて、心に沁みた。誰も悪くないのに上手くいかないことはあるよなと感じた。
『八犬伝』の部分は十分楽しめた。キャスティングも映像もとても素晴らしかった。
歌舞伎ファンとしては中村座の歌舞伎のシーンが、獅童さん、右近さん以外も本物の歌舞伎の方達だったのは大変なご馳走だった。
南北との対話、渡辺崋山との対話、それぞれが馬琴の生き方や創作と深く繋がっていることにも注目したい。
エンターテインメントとしても人間ドラマとしても深い感動を覚えた作品だった。