21世紀の今受けとめたいメッセージ
この作品がすごいのは、19世紀のカリブ海に浮かぶ架空の島を舞台に、当時の非人道的な植民地主義を告発するだけでなく、現代にもつながる、先進国の支配と発展途上国の搾取の構造や、そこで生きる人々について想起させてくれるところです。
人種や、時間、空間を超え「自分は、策略家ウォーカーの立場なのか?それとも搾取に抗う現地人ドロレスなのか?」見る者に問いかけてきます。
日本国内では1971年に、”Burn!” と題する英語版が『伝統的な冒険アクション』(ジッロ・ポンテコルヴォ監督のインタビュー から)として公開されました。
残念なことに、作品の背景となる植民地の実態や物語の要となる登場人物のエピソードが一部カット編集されていました。(公開時のパンフでは、上映時間1時間51分)VODなどなく配給会社を通じての劇場公開がすべてだった時代です。
2019年にブルーレイとDVDでリリースされた『ケマダの戦い』リストア全長版(”QUEIMADA” イタリア語 原版 ( 2時間9分))で、監督が意図した本来の作品を鑑賞できるようになりました。
2020年に亡くなったエンニオ・モリコーネによるテーマ音楽(”Abolisson” )は、作品の核となるメッセージが込められており、2022年のワールドツアー(息子アンドレアが指揮)でも新たな感動を呼び起こしてくれました。(2021年のドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも紹介。)
映画のラスト近くにドロレスは、ウォーカーに問いかけます。「英国人よ。この白人がつくりあげた社会はいつまで続くのか?」と。
(映画を見終わってからもテーマ曲は「理不尽な社会のしくみへの『廃止(”Abolisson”)』!」を私たちに呼びかけてきます。)
21世紀の今こそ、そのメッセージを受けとめたい傑作です。